医療機関を受診したい、しかしどの科に行ったらいいのかわからない。これは比較的多く聞く悩みです。あちこちの科にかかって疲れてしまうよりは、初めからその症状にピンポイントで焦点を当てて治療に当たってもらった方が負担が少ないでしょう。
しかし、そうとはいえ、これはなかなか難しいことです。例えば腹痛一つにしても、お腹のどの部分が痛くて、それは内臓なのか筋肉なのかということは検査をしてみなくてはわからないことがよくあります。腰痛かと思っていたら、腰の部分にある内臓の異変だということもあります。どこが悪いのか、どこが病変部なのかということを確定することは医師にとっては大事なことですが、困難さを伴います。また例えになるのですが、指の痺れがあるということで、首や腕の神経が関係しているのかも知れないと思って整形外科に行きます。そこで異常がなければ、ひょっとして脳の異変かも知れないと思って脳神経外科を受診してMRIを撮影する場合もあります。それでも異変がなかったら、神経内科に行って初めて原因と治療法が判明するということもあります。
これは確かに患者さんにとっては負担ですが、悪くないところを知るということは治療にとっては大事なことで、除外診断と言われますが、危険性や可能性が高い疾患の科を受診した上で正確な診断をしてもらうのは大切なことです。最近ではかかりつけ医の制度があり、いつも1人の患者さんを1人の医師が診ていて、総合的に患者さんの健康状態を把握しようという動きが出ています。また、信頼できる近所のお医者さんでも、名医であればあるほど、自分のところでは診断も治療もし切れないので、別の科や病院に紹介をします。大きな病院であれば、1日の間に何ヶ所かを受診して原因を突き止めることもできます。
どうやって効率よく受診するかということは難しくもありますが、大事なことです。面倒であっても放置せず、正しい診断と治療を受けることをおすすめします。